「築古ビルでも内装がきれいで、家賃は抑えたい」「新築のハイグレードビルは予算が合わないが、無機質な一般オフィスは避けたい」——そんな欲張りなリクエストに最適なのがリノベーションオフィスです。本記事を読むと、次の3点が分かります。
- リノベーションオフィスの定義と、一般賃貸・新築・セットアップとの違い
- 知っておくべき賃料相場と費用感(2026年最新データ)
- 向いている業種と、失敗しない物件の選び方
オフィス仲介の現場で日々物件を見ているSOHO東京が、中立的な立場で整理します。
■ この記事の結論
- リノベーションオフィスとは、既存の築古ビルを再生し、デザイン性・機能性を高めた賃貸オフィスのこと。表面的に直す「リフォーム」とは異なり、価値そのものを作り直す点が特徴。
- スケルトンから内装を作ると坪30〜50万円(100坪で4,000〜1億円前後)かかるが、貸主側でリノベ済み物件なら初期工事費を大きく圧縮できる。
- 東京都心5区の平均賃料は22,845円/坪、空室率は2.07%と歴史的低水準(2026年5月時点)。需給がタイトな今、デザイン性と費用のバランスが取れた選択肢として価値が高い。
- スタートアップ・IT・クリエイティブ・アパレルなど、ブランドイメージと採用力を重視する企業に特に向く。
こちらの物件は一棟自社ビルで使っていた物件をスケルトンからリノベーションしました。
元々なかったエレベーターを導入したり空調と水まわり設備を一新しており、築年数は経過していますが、意欲的なリノベーション企画です。
目次
- リノベーションオフィスとは
- なぜ今リノベーションオフィスが選ばれるのか
- 賃料相場・費用の目安(2026年最新)
- 向いている業種・向いていない業種
- 失敗しない物件選びのポイント
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
リノベーションオフィスとは
リノベーションオフィスとは、既存のオフィスビルや空間に大規模な改修を加え、機能や使い勝手を根本から見直して新たな価値を持たせた賃貸オフィスを指します。古くなった部分を元に戻す「リフォーム」が原状復帰・部分補修を中心とするのに対し、リノベーションは場合によってスケルトン状態にしてからレイアウトやデザインを一新し、エレベーターなしの物件にエレベーターをつけたり、空調や水まわりに最新の設備を導入して建物の価値を高める点に違いがあります。
改修の規模によって、空間全体を刷新する「フルリノベーション」と、エントランスや会議室など一部を重点的に手を入れる「ポイントリノベーション」に大きく分かれます。借り手から見ると、リノベーションオフィスは「築年数は古いが、内装は新築同様に整えられた物件」として市場に出てくることが多く、デザイン性と賃料のバランスを取りやすいのが魅力です。イメージとしては一般的なオフィス < リノベーションオフィス < セットアップオフィス・ハイグレードオフィスの順で坪単価が上がっていきます。
なぜ今リノベーションオフィスが選ばれるのか
背景の一つは建設コストの高止まりです。資材価格や物流コストの上昇で内装工事の単価はここ数年で1割以上上がり、ゼロから作るより再生された既存空間を活用するほうが合理的という判断が広がっています。また、既存躯体を活かすリノベーションは建て替え新築よりCO2排出や廃棄物が少なく、サステナビリティ重視の方針とも一致します。
さらに、築古ビルならではの高い天井高・窓のデザイン・その時代特有の素材・建材といった意匠は新築の画一的な空間にない個性があり、ブランディングや採用の武器になります。市場全体の空室率が2%台と低く物件確保が難しい今、選択肢を広げる意味でも注目度が高まっています。
賃料相場・費用の目安(2026年最新)
まず市場の基準として、東京の都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の平均賃料は22,845円/坪、平均空室率は2.07%です(公表されている市場統計/2026年5月時点)。区別では次のとおりで、エリアによる差が大きいことが分かります。
| エリア | 平均賃料(円/坪) | 平均空室率 |
|---|---|---|
| 渋谷区 | 25,507 | 1.28% |
| 千代田区 | 24,305 | 1.23% |
| 港区 | 23,247 | 2.38% |
| 中央区 | 21,086 | 2.92% |
| 新宿区 | 19,978 | 2.49% |
出典:公表されている市場統計(東京ビジネス地区)/2026年5月時点
リノベーションオフィスの賃料は、デザイン性や設備が付加価値となるため同条件の一般賃貸よりやや高めに、新築ハイグレードビルよりは抑えめに設定される傾向があり、「相場と新築の中間」に位置づけられます。
費用面で見逃せないのが初期の内装工事費です。スケルトン(内装なし)から自社で内装を作る場合、フルリノベーション級の工事で坪50〜100万円(100坪なら5,000〜1億円)が目安とされます。すでに内装が整ったリノベ済み物件なら、この工事費を大きく圧縮でき、入居までの期間も短縮できます。賃料が多少高くても、施工にかかる初期費用を抑え、スピード重視かつ想定する入居期間から総コストを計算していくという考え方です。
こちらの物件はオーナーが元々事務所で利用していた居抜き物件です。入居後にテナント側で更にリノベーションを行ない再度居抜きで募集をしています。時にリノベーション物件と居抜き物件は区分が曖昧になるケースがあります。
向いている業種・向いていない業種
向いている業種
- スタートアップ・IT・Web系:採用競争が激しく、初期費用を抑えつつオフィスの個性を出せる点が好相性。
- クリエイティブ・デザイン・広告:空間そのものが提案力の証明・信頼感につながり、来訪客への訴求力が高い。
- 士業・コンサル・少人数の専門サービス:信頼感のある内装を初期投資を抑えて確保できる。
向いていない(要検討の)業種は、大規模フロアや特殊設備が必須の業種(仕様が合わず追加工事になりやすい)、耐震・セキュリティ基準を最優先するコンプライアンス重視の企業(築古ゆえ確認が必須)です。
失敗しない物件選びのポイント
1. 「リノベ済みの範囲」を必ず確認する
内装は新しくても、空調・配管・電気容量といったインフラ部分が旧来のままのケースがあります。専有部だけでなく共用部や設備の更新状況まで確認しましょう。
2. 耐震性と築年数をチェックする
1981年の新耐震基準を満たすか、耐震補強がされているかは重要な判断材料です。デザインの良さだけで決めず、建物の安全性を裏付けで確認します。
3. 原状回復の範囲を契約前に握る
退去時に「どこまで戻すのか」が曖昧だと、想定外の費用が発生します。賃貸借契約書で原状回復義務の範囲を読み込み、事前に確認しておくと安心です。なお、内装が整った物件を探す視点では居抜きオフィスやセットアップオフィスも比較対象になります。それぞれの違いも併せて検討するとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q. リノベーションオフィスとリフォームオフィスは何が違いますか?
A. リフォームは老朽化した部分を元の状態に戻す部分補修が中心です。リノベーションはレイアウトや設備を根本から見直し、機能と価値を新たに作り直す点で範囲が大きく異なります。
Q. リノベーションオフィスとセットアップオフィスの違いは?
A. リノベーションは「建物・空間を再生した物件」という意味合いで、築古ビルの価値再生を指すことが多い言葉です。セットアップオフィスは「内装・什器が整い、契約後すぐ使える状態」を指します。リノベ済みかつセットアップという物件も存在します。
Q. 賃料は一般的なオフィスより高いですか?
A. デザイン・設備が付加価値になるため、同条件の一般賃貸よりやや高めになる傾向があります。ただし新築ハイグレードビルよりは抑えられ、内装工事費(スケルトンなら坪30〜50万円)を節約できる分、総コストでは有利になるケースも多いです。
Q. 築古ビルですが安全面は大丈夫ですか?
A. 物件によります。新耐震基準への適合や耐震補強の有無、設備更新の状況を必ず確認してください。これらが確認できれば、デザイン性とコストを両立した有力な選択肢になります。
まとめ
リノベーションオフィスは、築古ビルを再生してデザイン性と機能性を高めた賃貸オフィスであり、建設費高騰と低空室率が続く2026年において「新築と一般賃貸の中間」を埋める合理的な選択肢です。初期工事費を抑えながら個性的な空間を確保でき、採用やブランディングを重視する企業に特に向いています。一方で、耐震性・設備更新・原状回復の範囲は必ず事前に確認しましょう。
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執筆:SOHO東京 営業部(運営:株式会社トランスリアル) 担当:木内


